「もののけ姫」のキャラクターは全て印象深いですが、その中でも異彩を放っているのが「山犬のモロ」ではないでしょうか?
モロが人間を憎んでいるのは明確でした。しかしサンのことは殺さずに育てた。大切に・・何故殺さずに育てたのでしょうか?
モロは人間を恨んでいたのに、人間のサンを大切と言っても過言でないように育てたと思います。だからこそサンはモロ・自分達の大切な家(森)・家族を守るために戦ったのではないでしょうか?
家族が好きになる子供。子供を大切に育てる親。素敵な関係ですよね。
そこで更に思うのです。なぜ人間嫌いのモロはサンを育てなのか?嫌いな相手の子供など、獣であるモロは殺してもおかしくないのに・・
ちょっとモロについて書いてみても相当魅力的なキャラクターですよね。今回は「もののけ姫」のモロについて掘り下げてみたいと思います。
モロが食い殺さずにサンを育てた理由を考察!
出典:スタジオジブリ
モロがサンを殺さず育てた理由を考察する前に、モロのキャラクターについてもまとめてみます。
- モロ一族の長・子供(山犬)が二匹の母親・かなりの知恵がある
- 人間を憎んでいる=人間は自分達(欲)のため自然を破壊している
- エボシに傷を負わされている(長くは生きられない模様)
モロがアシタカやサンたちとかわす会話からも相当、賢いのだろうなと感じます。
だからモロはサンを殺さなかった。以下のような理由があるのかなと考察します。
- 人間であるサンを山犬の娘=人間の敵として育てることが人間への復讐となった
- サンを自然を愛する人間に育てたかった=森・動物(シシ神)のために・・
- 母親として赤子を見捨てることができなかった。たとえ人間でも・・
一つずつみていきましょう。
1.人間であるサンを山犬の娘=人間の敵として育てることが人間への復讐となった
モロが人間を恨んでいる理由は、人間が自分の都合・欲のために自然を破壊していることにあるのではないでしょうか?モロたち山犬や、乙事主たちがいた山は木を切り倒されて開かれているのでしょう。
それは人間にとっては理由があり必要なことなのでしょうが、今まで山に住んでいた動物たちのことは一切考えていない行為です。むしろ、動物たちを排除しようとしていた。
敬意はない・・シシ神や太古の獣たち=モロ・乙事主・ナゴの守たち。かつては人間に敬われて共存してきたのではないでしょうか?
だからこそエボシたちのような自然を森を切り開き破壊する者たちは許せなかったのではないでしょうか?
そして暴れ回ったモロのところへ、生贄として差し出された赤子のサン。
モロたちが求める事では全くなく、何もわかっていない人間たちに相当腹が立ったのではないでしょうか?
人間の赤子を食い殺すことは簡単だが、そこからは何も生まれない。
モロはサンを自分の子供として育てる。森・自然がどれほど素晴らしいか、必要なものか教えて育てる。そうすれば自ずと人間の敵となると思った可能性はあるのかな?と思います。
しかし。。少しでもモロがサンに対して悪意を持っていたら、サンはあのような真っ直ぐで純粋な女性にはならなかったのかなと思います。
2.サンを自然を愛する人間に育てたかった=森・動物(シシ神)のために・・
モロがサンを育ては理由はやはりこちらかな?と筆者は考察します。
物語の終盤でアシタカが「森とタタラ場双方生きる道はないのか?」と言います。
モロは意図しなくとも、どこかで森・自然の大切さをわかってくれる存在が必要だと思っていたのではないでしょうか?
賢いモロのことです。何の罪もない赤子を殺したところで何も生まれないことはわかっていたのではないでしょうか?モロや、モロの子供たちと一緒に暮らせば森が家となり故郷となる。大好きな場所ですよね。サンの行動から大好きな場所で あることは感じられました。
サンにとって愛情があり温もりがある場所。それはシシ神の森だった。
サン自然を破壊する人間が嫌いになり自然を愛した。そしてアシタカと出会い、今までにない方向にタタラ場とシシ神の森(=自然)は進むことになったのではないでしょうか?
モロは結末まで見据えてサンを育てたのではないと思います。しかしモロと一緒に育てられたサンは自然を敬い、森やシシ神が与えてくれるものを享受し、感謝できる人間となったのではないでしょうか?
サンたちが住む時代にそのように感じられる人間はともて貴重であり稀だったのではないでしょうか?
3.母親として赤子を見捨てることができなかった。たとえ人間でも・・
モロは話を聞く親だなと思いました。このサンとモロの会話から。
サン「かあさん、ここでお別れです。わたし乙事主さまの目になりにいきます。あの煙にこまっているはずだから。
モロ「それでいいよ…おまえにはあの若者と生きる道もあるのだが…」
サン「人間はきらい!」モロ「おまえたちはサンとおいき!わたしはシシ神のそばにいよう」
出典:もののけ姫
サンは乙事主と共に死ぬことを覚悟したのではないでしょうか?それを止めずに、サン(=子供)のやりたいことを認めてあげる。これは親としてとても素敵な事ですが、なかなかできることではないのではないでしょうか?
だからこそ、生きる道として「アシタカとともに生きることもできるよ」とも提示しています。きっとモロはサンのアシタカへの思いもわかっていたのでしょう・・・
それでも行くというサンにモロの子供も一緒に行くように言います。サンを守るように、サンを1人にしないように・・
サンは捨てられた過去(生贄)があります。サンを愛するモロとしてはサンを1人で死にに行かせたくはなかったのかな。。と深読みしてしまいますね・・
憎むべき人間の赤子でも罪はないとやはりモロは考えたのではないでしょうか?だから本当の親のように愛情を注いで育てた。それは上記で紹介した会話からもわかるかと思います。
モロがサンを殺さなかったのは母親としての愛情から。
そして結果的に、モロ一族と同じように自然を愛し大切にする人間となった。その後、アシタカと出会い森とタタラ場の未来を守っていくようになった
というのが筆者の考察です。いかがでしょうか?
モロと乙事主は恋人関係だった!?
出典:スタジオジブリ
モロの声を担当されたのは美輪明宏さんです。筆者にはモロ役の美輪明宏さんについて「もののけ姫」公開当時のテレビで見たある記憶があります。
乙事主とモロが久々に再会した場面。そのアフレコの映像でした。
なかなか監督のOKが出なく悩む美輪明宏さん。その時宮崎駿監督がアドバイスをしていました。確か。。。
「モロと乙事主はかつて恋人同士でした」的なことを言ったように記憶があります・・
そして美輪明宏さんのアフレコがOKになった。
太古から生きている知恵のあるモロと乙事主。
乙事主は言っていました。「みんな小さくバカになりつつある。」と・・
知恵のある生き物同士。種族が違えど色々なことがあったのでしょう・・
現代の我々が国や地域が違えど恋愛をするように・・・
そう考えるとロマンがあり、モロがサンを育てたのもわかるような気がします。
まとめ
モロが憎い人間も赤子サンを育てた理由についてみてきました。
モロの魅力的なキャラクターがよりわかったように筆者は感じます!
賢い母親がモロなのかな?と思います。モロのような親に育てられたサンと子供たち。いいですよね〜素敵な考え方・生き方ができるかな?もしくは厳しい生き方なのか・・・
そんなところも想像できるのがジブリの魅力です!
色々と想像して楽しみましょう!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
|