「風立ちぬ」ありの中盤あたりで、二郎はなぜか特高に追われたのか?
特高とは特攻警察(特別高等警思の略称)という、社会運動などの思想を取り締まる・政治犯を取り締まる政治警察のような存在ですよね。
二郎はそのような思想や行動はとっていなかったはず・・・
そこで目を引く存在である謎な人物「カストルプ」。二郎と菜穂子が再開する軽井沢にカストルプがいましたね。
意味深な目つき、セリフを持つカストルプ・・どのような人物なのか?二郎が追われた理由はやはりカストルプなのか?考察を交えつつ掘り下げていきたいと思います。
カストルプは何者なのか?正体は?
カストルプが何者なのか?その素性を見ていきましょう。
- 軽井沢に滞在するドイツ人
- タバコを燻らせながら足を組み新聞を読む
- ナチス・ドイツをあまり良く思っていない
- クレソンが大好き
- ピアノが演奏できる
どこか飄々とした印象がありますよね。ではより詳しく見ていきます。
カストルプは何故追われていた?
なぜカストルプは追われていたのか?何に追われていたのか?以下のような考察があります。
- 政治犯としてドイツの秘密警察に追われている
- スパイだから日本政府に追われている
1.政治犯としてドイツの秘密警察に追われている
カストルプは二郎との会話の中で、ナチス・ドイツを批判していました。祖国であるドイツを支配しておるナチス政権をよく思っておらず、政治犯としてドイツの秘密警察に追われることになったのでは?と考えられます。
また、二郎との会話には「日本はハレツする」と当時の日本で会話するにはドキドキな内容も言っていましたね。このような発言から日本の特高にも目をつけられていた可能性があるのではないでしょうか?
2.スパイだから日本政府に追われている
カストルプのモデルとなったと言われている人物がドイツ人でありソビエト連邦のスパイとして、日本で諜報活動を行っていたのです。その人物がリヒャル・ゾルゲです。
この人物は後に日日本政府機関に捕まり、処刑されてしまいました。
カストルプのモデルがこの人物であり、どこか秘密・謎めいた人物ということからもスパイとも考えられそうです。
カストルプのタバコに注目!
カストルプのタバコについても実は意味深なセリフ・シーンがあったのです!
カストルプは二郎に「ドイツのタバコ、これ最後。悲しい。」
とのセリフがあります。そして、ドイツのタバコが終わり、二郎が日本のタバコをカストルプにあげ、一緒に燻らすというシーンへ。
なんの変哲もないシーンです。
しかし!後日、カストルプ、二郎、菜穂子の父親と話すシーン。カストルプはこの時もタバコ。
このタバコの銘柄が、あの時最後と言っていたタバコの銘柄のものなのです。
え?!なんで!?最後ではなかったのか?どうやって手に入れたのか・・
当時、戦争中である日本にはドイツ製のタバコはあったのでしょうが、追われているカストルプが簡単に手に入れられると思えません。
カストルプがスパイであり誰かに支給された。または、亡命してきたカストルプを助ける誰かがいた・・からでしょうか?
何事にも裏の世界というものはありますよね。どこか秘密めいたカストルプは裏の世界とも繋がりがあり手にすることができたのではないでしょうか・・・
カストルプの名前にも注目!
二郎とカストルプの会話に出てきた「魔の山」という小説。カストルプという名前はこの「魔の山」の主人公と同じなのです。※作者はトーマス・マン(ドイツ出身の小説家)
魔の山という作品は「結核サナトリウム(長期的な治療の療養所)」が関わってきます。多くの病気で訪れ亡くなっていく場所・・・
「風立ちぬ」ではヒロイン・菜穂子が結核に苦しみ空気の綺麗な場所で入院していました。
それは、長野県の富士見町の富士見高原療養所ではないかと考察しています。詳しくはこちらの記事から!
カストルプと二郎で「魔の山」について会話し。「魔の山」に主人公と同じ名前カストルプ。結核にかかっている菜穂子。宮崎駿監督は何かを暗示しているのか・・なんて思ってしまいますよね!「魔の山」が気になった方は読んでみてはいかがでしょうか?かなりの長編・難解と言われているドイツ文学ですが挑戦して見るのも良いかもしれません!
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二郎が特高に追われた理由はカストルプ?!
前章まではカストルプを深堀してきました。二郎が特攻に追われる理由となったのはやはりカストルプと接触したから。ということになりそうですよね。
全くの偶然でカストルプと知り合いになり、一緒に食事をしたり、話をしたり、タバコを一緒に燻らしたりした二郎。
カストルプのおかげで、菜穂子と交際→結婚することができたので二郎からすれば恩人でもありますよね。しかし厄介ごとに巻き込まれることにもなってしまった。
良くも悪くも二郎の人生機転となった人物がカストルプなのではないでしょうか?
運命とは面白いですよね!
カストルプの声優はジブリの元取締役部長!
カストルプの声優はスタジオジブリの元海外事業部取締役部長のスティーブン・アルパートさんです。
アルパートさんは「アルちゃん」とも呼ばれ宮崎駿監督・鈴木敏夫プロデューサーとも親しい間柄です。
筆者がアルパートさんについて知ったのは、「風の谷のナウシカ」を救った人物というものでした。海外に広めた際、ナウシカのないような大幅に改良されてしましそれを救ったのがアルパートさん!まさにナウシカの命の恩人ですよね。
そんなアルパートさんが家庭の事情で、アメリカへ帰国することに。そしてスタジオジブリも退社・・その後、「風立ちぬ」のカストルプとしてスタジオジブリに登場することになったのです!
歌のシーンに苦戦し何度も取り直すことになったことなど、風立ちぬの公開当時のメイキング映像で見た覚えがあります・・とても笑顔が素敵な人物ですよね!
アルパートさんとしてナウシカを救い、カストルプとして二郎と菜穂子の恋のキューピッドに。なんとも素敵なスタジオジブリとの関係だなと思います。
まとめ
「風立ちぬ」の中の一つの疑問、なぜ二郎は特高に追われたのか?その理由はカストルプだったのか?について考察。掘り下げてきました。
「風立ちぬ」は深い作品ですよね。関連する本なども読みたくなりますね!
ここまでお読みいただきありがとうございました。